2026-27シーズンのNBAで、最も注目を集める新チームの一つがフィラデルフィア・76ersです。レブロン・ジェームズとジェイレン・ブラウンが加わり、タイリース・マキシー、ジョエル・エンビードとともに巨大な攻撃陣が生まれました。
ただし、スター選手を集めたからといって、ボールは一つしかありません。誰がボールを運び、誰がスクリーンを使い、誰が最後のシュートを打つのか。そこを整理できなければ、豪華な顔ぶれは得点効率へ直結しません。
そこで今回の主役にしたいのが、レブロンでもエンビードでもなくタイリース・マキシーです。NBA公式サイトが掲載したThe Athleticの最新取材では、球団幹部がマキシーの適応力をチーム成功の重要条件に挙げています。ニック・ナースHCも、プレシーズンでマキシーをボールのない位置で使う時間を増やしてきました。
なぜ、平均28点以上を奪った得点源をオフボールへ動かすのか。昨季の公式データ、現地記者の映像分析、当事者の発言を組み合わせると、その理由が見えてきます。
※2026年10月21日朝・日本時間の取材内容と2025-26シーズンの記録に基づく戦術特集です。開幕戦76ers対ニックスの最終結果・試合後評価は含めていません。記事中のプレー設計は一部、公開情報からの戦術的仮説です。
結論|新76ersの鍵は「誰が得点するか」ではなく「誰がボールを持たずに脅威になるか」
フィラデルフィアの新体制には、レブロン、ブラウン、マキシー、エンビードという複数のボールハンドラーとスコアラーがいます。全員が順番に1対1を行うだけなら、攻撃時間が減り、他のスターが立って待つ時間も増えてしまいます。
一方で、レブロンがディフェンスを引き付け、空いたスペースへマキシーが走り込めば、同じ選手の能力を違った角度から使えます。ボールを持つ時間を減らしても、得点機会の質は上げられる可能性があるのです。
2025-26シーズン、マキシーは平均28.3得点、6.6アシストを記録しました。注目したいのは総得点以上に、3Pの打ち方によって成功率が変わっていたことです。

公式データで検証|マキシーは「自分で打つ3P」より「受けて打つ3P」が高確率だった
NBA.comの76ersチームページに掲載された2025-26シーズンのシュート分類では、マキシーの3Pには明確な差がありました。
| 2025-26 マキシーの3P | 1試合の試投 | 成功率 |
|---|---|---|
| キャッチ&シュート(パスを受けて打つ) | 3.4本 | 41.7% |
| プルアップ(ドリブルから打つ) | 5.2本 | 33.5% |
| 差 | — | 8.2ポイント |
出典:NBA.com Philadelphia 76ers チーム情報(2025-26のショットタイプ成績)。シーズン成績:NBA公式選手プロフィール。
成功率の差は8.2ポイント。キャッチ&シュートが増えるだけで必ず得点が増えるとは限りません。パスを受ける場所、守備者との距離、残り時間など、ショットの難易度がそもそも違うからです。
それでも、数字が示す方向性ははっきりしています。昨季のマキシーはボールを長く運んで難しい3Pを作るより、周囲が作ったチャンスを受け取る方が高い確率で決めていたのです。
仮にプルアップ2本をキャッチ&シュート2本に置き換えたら?
単純な算数としては、成功率の差0.082に2本と3点を掛けて、1試合あたり約0.49得点の上積みです。
0.082 × 2本 × 3点 = 約0.49点
もちろんこれは「同じ難易度で2本入れ替えられる」という仮定に基づく計算で、実際の得点増を予測するものではありません。レブロンがパスを出すことで守備が動くなら上振れの余地もあり、逆に相手がマキシーのキャッチを消してくるなら数字は下がります。
この比較は、76ersがマキシーの持ち時間を減らす一方、良いシュート機会を増やす意図を考えるための材料として捉えるのが適切です。
The Athleticが見た新76ers|球団幹部は「マキシーが最高の選手の一人である必要がある」と考える
NBA.comが10月20日付で掲載したThe Athleticのトニー・ジョーンズ記者による取材は、華やかなスター移籍の陰にいるマキシーへ焦点を当てています。
同記事で球団幹部マイク・ガンジーは、チームが最高の効率で機能するにはマキシーが毎晩トップクラスの働きをする必要があると説明しました。同時に、これまで長くボールを持ってきたマキシーが、新たにプレーメーカーと得点者を両立させる難しさも認めています。
さらに、ガンジーが比較対象に挙げたのは、若い頃のカイリー・アービングとレブロン・ジェームズの組み合わせでした。マキシーにも、カイリーのようにボールを持って瞬間的に相手を崩し、同時にレブロンの隣で得点源として機能する可能性を見ています。
ただし、2010年代のキャバリアーズと今の76ersは同じではありません。レブロンの年齢も、エンビードというポスト中心の大黒柱の存在も違います。この比較を「過去の成功をそのまま再現できる」という意味に受け取るべきではないでしょう。
学生時代から持っていたオフボールの素地
The Athleticの取材では、大学時代の指導者ジョン・カリパリもマキシーを振り返っています。マキシーはケンタッキー大学で主としてボールを持たない役割を経験し、NBA初期もベン・シモンズやジェームズ・ハーデンの隣でプレーしてきました。
そこからフルタイムのリードガードへ進化した経緯を考えると、今回の変更は単なる「降格」ではありません。むしろ、自分で作れる選手が、再びボールなしでも脅威になれるかという新しい進化が求められているのです。
参照:The Athletic / Tony Jones(NBA.com掲載、2026年10月20日)。
ニック・ナースHCの設計|マキシーをどう動かすのか
プレシーズン中、ニック・ナースHCはマキシーのオフボール起用について説明しています。米メディアSixers Wireのカイ・カーリン記者が10月14日に取材したところ、ナースHCはこれまでマキシーが自ら攻撃を生み出さざるを得ない役割を担ってきた点に言及しました。
レブロンやブラウンが新たにボールを運べるようになったことで、スクリーンを使って走り、パスを受けてシュートを打つ機会が増やせます。では、実際にどんなプレーが考えられるでしょうか。
① レブロンが運び、マキシーがフレア/ピンダウンを使う
レブロンがトップでボールを持つ間に、マキシーがウイングからコーナー、あるいはピンダウンスクリーンを使って逆サイドの3Pラインへ動く形です。
ディフェンスがレブロンのドライブを止めるために収縮すれば、マキシーへのキックアウトが生まれます。相手がマキシーを追えば、今度はレブロンのドライブやカッターが使いやすくなります。
プレー名自体は公開映像を全試合確認していないため、実際に固定セットとして使われると断言するものではなく、理にかなう選択肢として紹介しています。
② マキシーのスピードを「2回目の攻撃」に使う
一度レブロンやブラウンがペイントを攻め、守備が寄った後、ボールを外に戻す。このタイミングでマキシーがキャッチして再びドライブすれば、最初の攻撃で生まれたディフェンスのずれを維持できます。
最初からセットされた守備をマキシー一人で抜くのと、すでにローテーションが始まっている守備を攻めるのとでは、必要なドリブル回数も難易度も変わります。
③ マキシーとエンビードの2人の関係は失わない
ハーデン退団後、マキシーとエンビードの2人で作ってきたピック&ロールは、フィラデルフィアの重要な武器でした。レブロンが加わったからといって、その連係を捨てる必要はありません。
レブロンやブラウンをボールと反対側に置き、マキシーとエンビードの2メンゲームを維持する時間も必要でしょう。相手がマキシーを止めに寄れば、逆サイドのスターにパスが通ります。
参考:Sixers Wire / Ky Carlin「Nick Nurse assesses Tyrese Maxey’s off-ball reps」(2026年10月14日)。
ブラウンの役割も鍵|現地映像分析が示した「2人目のピック&ロール司令塔」
レブロンだけが司令塔になるチームを想像すると、フィラデルフィアの姿を見誤るかもしれません。実際、ジェイレン・ブラウンにもハンドラーとしての価値があります。
NBC10 Philadelphiaのザック・キャリー記者が10月10日に公開したプレシーズンの映像分析では、ブラウンは最初の2試合で合計40得点、出場41分、FG成功率59.1%。さらに2025-26シーズンのブラウンは、ボールスクリーンから1回あたり0.93点を生み出しており、マキシーの0.92点と近い値でした。
この数字は選手ごとの異なる役割・チーム環境における集計です。ブラウンの方が優秀だと断定するための直接比較ではありません。 重要なのは、ブラウンもピック&ロールを使ってドライブから攻撃を始められることです。
ブラウンがボールを運び、レブロンが弱サイドで視野とサイズを活かし、マキシーがシュートへ動く。レブロンが休む時間帯も、マキシーとブラウンでプレーを作れる。こうした複数の組み合わせが成立して初めて、スターの人数が強みに変わります。
レブロンが変えるのは得点だけではない

「ボールを運ぶ選手が増える」という説明だけでは、レブロンの加入効果は語り切れません。
レブロンは、守備がどこに寄り、誰が空き、どのタイミングでパスを届けるべきかを把握する能力で長年攻撃を組み立ててきました。今季は1回のドライブから自分が得点することより、マキシーやブラウンが最も打ちやすい場所へボールを届ける役割が大きくなる可能性があります。
2026年10月のNBC Sports取材でも、レブロンは金銭面よりも優勝への挑戦を優先し、マキシー、ブラウン、エンビードと組む機会を選んだと報じられています。本人がベテランとして何を優先するかと、チームが求める役割には接点があります。
出典:NBC Sports / Kurt Helin(2026年10月19日)。
守備はどうなる?ニック・ナースが期待するスイッチとボールマンプレッシャー
得点力ばかりが話題になる新76ersですが、ニック・ナースHCがトレーニングキャンプ序盤から時間を費やしたのは守備でした。
The Philadelphia Inquirerのクリス・ハイン記者による10月3日の取材では、ナースHCはメンバーのサイズと判断力が増したことで、多様な守備の選択肢を準備できると説明しています。
新しい選手を組み合わせるチームにとって、問題は「スイッチできる選手が何人いるか」だけではありません。ボールスクリーンを守る際、誰が前に出て、誰がローテーションし、最後に誰がリバウンドを取るのか。カバレッジの共通言語を揃えられるかが重要になります。
新しいスターが多いチームほど、オフェンスの得点力に守備の整理が追いつかないリスクがあります。これはキャンプ時点の戦術課題であり、開幕戦での守備成功・失敗を断定するものではありません。
出典:The Philadelphia Inquirer / Chris Hine(2026年10月3日)。
注目するべき数字は得点ではなく「3つの割合」
今後、76ersの試合を追う際に確認したい数字を3つ挙げます。
- マキシーのキャッチ&シュート3Pの試投数:昨季の平均3.4本からどう変わるか。単純な本数だけでなく成功率も確認します。
- ボールを運ぶ選手の分担:レブロン、ブラウン、マキシーが、それぞれどの時間帯にピック&ロールを主導しているか。
- エンビードが絡む攻撃の質:ポストでのタッチがチームの停滞を生んでいないか、逆にキックアウトや弱サイドへのパスへつながるか。
個人の得点が少し下がっても、より高確率のシュートが増え、相手のローテーションを崩すことができるならチームにはプラスです。今年のマキシーに必要なのは、毎晩30点を目指すことだけではなく、攻撃の形を変えても相手に恐れられる存在であり続けることでしょう。
LeBron 24と、NBAスターのバッシュが気になる人へ
レブロンの新章はシューズにもつながります。Nikeは2026年10月5日、シグネチャーシリーズで最も軽い試合用モデルLeBron 24を正式発表し、11月17日に世界発売予定と案内しました。独自のKingKnitアッパーを採用するモデルです。(Nike公式プレスリリース)
ただし本記事は新76ersの攻撃分析であり、LeBron 24を実際に履いて走ったレビューではありません。製品の評価や価格、発売情報を確認したい場合は、LeBron 24の海外先行レビュー分析、LeBron 23と24の買い時比較で詳細を整理しています。
LeBronシリーズの購入情報
発売前モデルは正規販売の開始を待つのが基本です。型番・サイズ・在庫・販売元を確認し、同じモデルを比較してください。
NIKE・Kobe・Air Jordanの購入候補はWORLD HOOPS LABの楽天ROOMにも順次まとめています。商品一覧にLeBron 24があることや在庫があることは保証しません。
よくある質問|2026-27のレブロンとマキシー
レブロンが加入するとマキシーの得点は減る?
ボール保持時間や試投数が減る可能性はあります。一方で、レブロンらが守備を引き付けて生まれるキャッチ&シュート機会によって、シュート効率が上がる可能性もあります。まだシーズン全体の結果は出ていません。
マキシーの2025-26シーズン平均得点は?
NBA公式の記録で28.3得点、6.6アシストでした。オフボールでの新しい役割を考える際の比較基準になります。
なぜ76ersはレブロンとブラウンを両方必要とした?
現地取材とプレシーズンの分析によれば、複数人がピック&ロールを主導できれば、マキシーだけに攻撃を作る負担を集中させずに済みます。ただしボール配分と守備の共通理解をどう整理するかが成功条件です。
LeBron 24はもう買える?
Nikeの正式発表では2026年11月17日の世界発売予定です。2026年10月21日時点では正式発売前のため、予約・在庫・国内販売方法については必ずNikeの最新情報を確認してください。
まとめ|76ersに必要なのはスーパースターの足し算ではない
レブロン、ブラウン、エンビード、マキシーが同じコートに並べば、守備側にとっては非常に難しい相手になります。しかし、それが本当の強さになるかどうかは、一人がボールを持ったとき、残りの三人が何をしているかにかかっています。
新76ersでマキシーは、かつてのように周囲のスターへ合わせる役割と、昨季まで磨いたリードガードの役割を使い分けることになります。キャッチ&シュート41.7%という数字は、その新たな可能性を示す一つの根拠です。
今年のフィラデルフィアを追うなら、得点ランキングだけでなく、マキシーがオフボールで動く回数と、レブロンやブラウンが誰をフリーにしているかを見てみてください。チームの完成度は、そこに表れるかもしれません。
関連記事:レブロンが76ersを選んだ背景/2026-27の大型移籍5選/LeBron 24先行レビュー。
出典・検証した情報
- The Athletic / Tony Jones(NBA.com掲載、2026年10月20日):マキシー本人、球団幹部ガンジー、大学時代の指導者への取材。
- NBA公式76ersチームページ:2025-26のキャッチ&シュート・プルアップの3P試投と成功率。
- NBA公式マキシー選手プロフィール:昨季の得点とアシスト。
- Sixers Wire / Ky Carlin(2026年10月14日):ニック・ナースHCのオフボール起用への言及。
- NBC10 Philadelphia / Zach Carey(2026年10月10日):ブラウンのプレシーズン映像分析・2025-26のP&Rデータ。
- The Philadelphia Inquirer / Chris Hine(2026年10月3日):ナースHCの守備構築。
- Nike公式(2026年10月5日):LeBron 24の技術・世界発売予定。
- 写真:Chensiyuan(CC BY-SA 4.0)/Erik Drost(CC BY 4.0)。
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