2026年10月2日、LaLa arena TOKYO-BAYで行われた千葉ジェッツvsアルバルク東京は、Bリーグ史上2度目となるクアドラプルオーバータイム(4OT)へ突入しました。最終スコアは千葉J 131-138 A東京。40分では決着せず、合計60分に及んだ文字通りの大激戦です。

しかし、この試合を「4OTの歴史的ゲームだった」で終わらせるのはもったいありません。
千葉Jではネイト・ウィリアムズが48得点。開幕から東京サンロッカーズ戦で27得点、28得点を記録していた新加入ウイングが、わずか3試合目でさらに大爆発しました。試合後、B.PREMIERの平均得点ランキングでは34.3得点でリーグトップに浮上しています。
一方で、この試合を見ながら感じたのが、新しく始まったB.PREMIERの「オンザコートフリー」が生み出す圧倒的な競技レベルと、その裏側にある日本人選手のロールプレーヤー化への一抹の不安でした。
歴史的な60分間を振り返りながら、この試合で見えたネイト・ウィリアムズの凄さ、千葉JとA東京の対照的なロスター事情、そしてB.PREMIERの未来について考えていきます。
この記事のポイント|千葉ジェッツvsアルバルク東京
- 千葉ジェッツvsアルバルク東京は4OT、合計60分の歴史的ゲーム
- ネイト・ウィリアムズが48得点。開幕3試合で平均34.3得点
- 千葉Jは実質的にネイト・ウィリアムズ+ルーク・メイ中心で戦った
- A東京は外国籍3人+帰化選手ロシターを同時起用できるオンザコート4の強みを発揮
- B.PREMIERの競技レベル向上と、日本人選手のロールプレーヤー化という両面が見えた
ネイト・ウィリアムズの開幕3試合
| 試合 | 得点 |
|---|---|
| 東京SR戦 GAME1 | 27得点 |
| 東京SR戦 GAME2 | 28得点 |
| A東京戦 | 48得点 |
| 3試合平均 | 34.3得点 |
千葉ジェッツvsアルバルク東京、4OT・60分の大激戦
まず試合結果を整理します。
| チーム | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | OT1 | OT2 | OT3 | OT4 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 千葉J | 26 | 29 | 18 | 24 | 6 | 11 | 7 | 10 | 131 |
| A東京 | 26 | 21 | 24 | 26 | 6 | 11 | 7 | 17 | 138 |
第4クォーター終盤から、すでに普通の試合ではありませんでした。
残り17秒、原修太が3ポイントを沈めて千葉Jが追い上げます。続くA東京のターンオーバーから渡邊雄太が同点弾。さらにA東京がラクラン・オルブリッチのフリースローで再びリードしますが、タイムアウトを残していなかった千葉Jは残り1.6秒、ネイト・ウィリアムズが得点して97-97。ここから延長戦に入りました。
1回目の延長ではライアン・ロシターが残り8秒で同点弾。2回目の延長ではロシターの3ポイントでA東京が抜け出しかけると、今度はウィリアムズが再び同点に戻します。3回目の延長では千葉Jが5点差を追い、ルーク・メイの得点で121-121。そして4回目の延長、最後に勝負を決めたのは安藤周人の3ポイントと、昨季まで千葉Jに所属していたディー・ジェイ・ホグの長距離砲でした。
60分間、何度「これで終わった」と思ったかわかりません。それでも両チームが返し続けた。単純な得点の多さだけでなく、フィジカル、シュートメイク、リバウンド、1対1、判断力のすべてが求められた試合でした。
千葉ジェッツvsアルバルク東京でネイト・ウィリアムズ48得点。これは「合わせの外国籍」ではない
この試合で最も強烈だったのは、やはりネイト・ウィリアムズの48得点です。
数字だけでも異常ですが、より重要なのは「どうやって得点したか」です。
Bリーグの外国籍選手というと、インサイドでサイズを生かす、ピック&ロールのダイブで合わせる、オフェンスリバウンドから押し込む、といった得点パターンを想像する人も多いと思います。しかしウィリアムズは、そのタイプとはかなり違います。
自分でボールを持ち、自分でズレを作り、自分で得点まで完結できる。
アイソレーションから相手を抜くことができます。3ポイントも打てます。キャッチ&シュートだけではなく、ドリブルからプルアップも狙えます。そして個人的に一番Bリーグ向きだと感じるのが、ディフェンスリバウンドやアウトレットを受けたあと、ガードに返さずそのまま自分でボールを運び、バックコートからフロントコートへ一気にプッシュできる点です。
196cm・93kgのサイズがありながら、ボールを持ってトランジションを起こせる。相手が下がれば3ポイント、前に出ればドライブ、ヘルプが来なければ最後までリングへ行く。この「一人で攻撃の形を変えられる能力」は、守備側にとって非常に厄介です。
しかも、これは一夜限りの爆発ではありません。
開幕の東京サンロッカーズ戦では27得点。翌日も28得点。2試合を終えた時点ですでに平均27.5得点でした。そしてA東京戦で48得点。3試合終了時点で平均34.3得点となり、B.PREMIER得点ランキングのトップに立っています。
World Hoop Labでは開幕週の記事でもウィリアムズを注目選手として取り上げましたが、当時よりさらに評価を上げる必要がありそうです。
関連記事:Bプレミア開幕週|ネイト・ウィリアムズら活躍3選手
千葉ジェッツvsアルバルク東京で見えたロスター差|千葉Jは実質「ネイト+ルーク・メイ」
48得点以上に評価したいのが、千葉Jの置かれていた状況です。
今季の千葉Jは外国籍のブランドン・ランドルフが左ハムストリングス筋損傷でインジュアリーリスト入り。さらにマット・コステロも左足の負傷でIL登録され、全治4~6週と発表されています。
ランドルフ離脱を受けて急きょ加入したのがルーク・メイです。つまりこのA東京戦で、千葉Jが実戦で大きく頼れる外国籍選手は、事実上ネイト・ウィリアムズとルーク・メイの2人でした。
帰化選手のウィリアムス・ニカもロスターにはいますが、この試合では起用の比重は限定的。結果として千葉Jは、長い時間をネイトとメイの2人を中心とした形で戦うことになりました。
そのメイも18得点14リバウンド。3OTでは121-121に戻す重要な得点を決めています。
そこに渡邊雄太が22得点8リバウンド、富樫勇樹が20得点7アシスト、原修太が10得点。外国籍の頭数が揃わない状態で、A東京を4OTまで追い詰めたこと自体、千葉Jの日本人選手層の強さを示した試合でもありました。
千葉ジェッツvsアルバルク東京で際立った「オンザコート4」の破壊力
千葉Jとは対照的に、A東京はB.PREMIERのオンザコートフリーを最大限に生かせるロスターです。
外国籍のディー・ジェイ・ホグ、キヨンテ・ジョンソン、ラクラン・オルブリッチ。そして帰化選手のライアン・ロシター。B.PREMIERでは外国籍3人に加え、帰化選手またはアジア特別枠1人を同時起用できるため、最大4人を同時にコートへ並べることができます。
この試合でも、そのサイズとフィジカルの圧力は強烈でした。
- オルブリッチ:33得点・14リバウンド・6アシスト
- キヨンテ・ジョンソン:29得点・12リバウンド・5アシスト
- ホグ:24得点・5リバウンド
- ロシター:6得点・24リバウンド・6アシスト・3ブロック
特にジョンソンは48分出場、ロシターも42分47秒出場。4人を同時に使える制度上のメリットだけでなく、ゲームの中心そのものがこの4人によって作られていました。
ロシターは6得点にとどまりましたが、24リバウンド。これは得点以上に大きな数字です。ジョンソンはフィジカルとハンドリングで守備を破壊し、オルブリッチはインサイドで33得点。最後はホグが古巣相手にディープ3を沈めました。
外国籍・帰化選手のクオリティが、そのまま試合全体のクオリティを押し上げていたと言っていいでしょう。
渡邊雄太22得点。日本人トップ層だからこそ見えるもの
その中で、日本人選手として最も存在感を示した一人が渡邊雄太です。
22得点8リバウンド。第4クォーター終盤には相手のターンオーバーから同点弾を決め、勝負どころでボールを託せる存在であることを改めて示しました。
富樫も20得点7アシスト。原も10得点。千葉Jには日本人トップクラスの選手が揃っています。
だからこそ、この試合は興味深かったのです。
これだけ日本人タレントが揃っている千葉Jであっても、最終的にオフェンスの中心はネイト・ウィリアムズとルーク・メイに強く寄ります。もちろんそれは勝つための合理的な判断です。48得点できる選手がいれば、使わない理由はありません。
ただ、B.PREMIER全体でこの傾向が加速した時、日本人選手の役割はどう変わっていくのでしょうか。
一抹の不安。日本人選手が「ロールプレーヤー化」しないか
ここからは、この試合を見たうえでの個人的な考察です。
B.PREMIERはオンザコートフリーになり、競技レベルは明らかに上がっています。外国籍3人+帰化・アジア枠1人を同時に使えることで、サイズ、フィジカル、シュート力、1対1能力が40分間ほとんど落ちません。
これは観戦する側からすれば非常に面白いです。昨季までならローテーションの谷間だった時間帯にも、高いレベルの選手が残ります。今回の4OTが60分間も高い強度を維持できた理由の一つでもあるでしょう。
ただし、その代償として気になるのが日本人選手の役割が限定される可能性です。
A東京を見ると、その懸念はより分かりやすく見えました。
テーブス海は13得点6アシスト、小酒部泰暉も14得点を記録しているので、単純に「何もしていない」という話ではありません。むしろ2人とも日本代表クラスのタレントです。
しかし試合全体のボール保持、1対1の起点、リバウンド、クラッチでのシュートメイクを見ると、A東京はどうしてもホグ、ジョンソン、オルブリッチ、ロシターへの比重が大きくなります。
テーブスがファウルトラブルや終盤の状況でベンチに下がれば、安藤周人が出てきて最後のOTで重要な3ポイントを決めました。それでも全体として見ると、日本人選手は「外国籍・帰化選手が作った優位性を仕上げる役割」に入りやすい印象がありました。
これは悪いことなのでしょうか。
短期的に「チームが勝つ」「リーグのレベルを上げる」という目的なら、必ずしも悪いことではありません。むしろ合理的です。
しかし日本バスケット全体の育成という視点では考える必要があります。
テーブスや小酒部のような、日本人としてトップクラスの創造性を持つ選手が、最も難しい時間帯にボールを持ち、失敗し、そこから成長する機会が減ってしまわないか。トップチームでプレーしていても、役割が3&Dやコネクターへ固定されてしまえば、日本代表で必要になる「自分で局面を解決する力」をどこで育てるのかという問題が出てきます。
この試合を見ながら、一部の時間帯ではかつてのbjリーグを思い出すような感覚もありました。もちろん現在のB.PREMIERは戦術、選手層、施設、フィジカル、データ活用など比較にならないほど進化しています。それでも、外国籍選手がボールを長く保持し、日本人選手が周囲で役割を遂行する構図には、どこか懐かしさと同時に不安も覚えます。
それでもB.PREMIERのバスケットは間違いなく面白くなった
ここまで懸念を書きましたが、オンザコートフリーを否定したいわけではありません。
むしろ、今回の試合は新制度の魅力が最大限に出たゲームだったと思います。
ゲーム全体でもジョンソンのドライブ、オルブリッチのインサイド、ホグのロングレンジ、ロシターのリバウンド。そこにネイト・ウィリアムズの48得点、渡邊と富樫のクラッチプレー、ルーク・メイの粘りがぶつかりました。
「外国籍が増えたから日本人が出られない」という単純な話ではなく、この環境の中で日本人選手がどう存在感を作るかが、今後のB.PREMIER最大のテーマの一つになりそうです。
もう一つ気になる。60分戦った選手たちは何時に帰れたのか
少し違う角度ですが、試合終了時間も気になりました。
19時05分ティップオフで、4度の延長。通常21時前後に終わる想定だったホームゲームが、実際には23時近くまで続きました。
LaLa arena TOKYO-BAYから選手たちはその後、クールダウン、治療、メディア対応、食事、移動があります。特に60分ゲームで40~50分近くプレーした選手たちの身体的負担は相当なものです。
その点、今季のB.PREMIERで印象的なのは、従来の「土日連戦」のようなバック・トゥ・バックが減り、今回も次戦は10月4日。1日空けて再戦できます。
これは単なる日程変更ではなく、試合のクオリティを保つためにかなり重要です。10月2日にこれほど消耗した両チームが、10月4日にどんな修正をしてくるのか。疲労を抱えながらも、再び高強度のゲームを作れるのか。第2戦を見る理由は十分にあります。
千葉ジェッツvsアルバルク東京まとめ|48得点の怪物とB.PREMIERの未来
千葉ジェッツ131-138アルバルク東京。4OT、合計60分。
この試合で最も強く残ったのは、ネイト・ウィリアムズの48得点でした。
アイソレーション、3ポイント、オフ・ザ・ドリブル、トランジション、自らボールを運ぶプッシュ。単なるフィニッシャーではなく、攻撃をゼロから作れる196cmのスコアラーです。開幕3試合で平均34.3得点。今後、対戦チームがどんな守り方を用意してくるのかまで含めて、今季のB.PREMIERで最も追いかけたい選手の一人になりました。
同時に、A東京が見せた実質的なオンザコート4の迫力は、新リーグの可能性そのものです。
競技レベルは上がる。試合は面白くなる。しかし、その中で日本人トップ選手が「役割をこなす選手」に収まってしまわないか。
この二つは両立できるのか。
10月2日の歴史的な60分は、B.PREMIERの面白さと課題を一度に見せてくれた試合だったと思います。
千葉ジェッツvsアルバルク東京戦のFAQ
千葉ジェッツvsアルバルク東京の最終スコアは?
最終スコアはアルバルク東京138-131千葉ジェッツです。4度の延長、合計60分に及ぶ大激戦となりました。
ネイト・ウィリアムズは何得点だった?
48得点です。アイソレーション、3ポイント、ドライブ、トランジションと幅広い形から得点し、開幕3試合平均は34.3得点となりました。
この試合で見えたB.PREMIERの特徴は?
オンザコートフリーによって外国籍・帰化選手を多く同時起用できるため、試合全体のフィジカルとスキルレベルは非常に高くなっています。一方で、日本人選手がボールを持って局面を作る機会が減る可能性もあり、競技レベル向上と育成の両立が今後の注目点です。


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